モンゴル南部のゴビ地方は多くの観光客の注目を集めており、モンゴルを訪れる観光客の8割がゴビを訪れているというデータがあります。外国人のほとんどがモンゴルの南ゴビは砂漠だと想像しますが、実際は全く違います。ゴビ地方はモンゴルの総面積の約 42% を占めていますが、砂丘で覆われているのはその内の 5% のみです。ゴビとは、広大な平原、むき出しの岩山、古代の海底のような土塊(砂質の粘土土が固まったところは「ツァヴ」と言う)、砂丘やオアシスがあり、世界的にも珍しい動植物が生息する独特の自然生態系です。
また、ゴビは古代の植物、哺乳類や爬虫類の化石、恐竜の骨や卵などの珍しい化石が豊富に産出することで世界的に有名です。1920年代半ば、アメリカの研究者チャップマン・アンドリュース氏がゴビの「バヤンザグ」という場所で世界初の恐竜の卵の化石を発見したのが古生物学的ユニークな発見となり、「ゴビ」という名前が初めて世界に知れ渡りました。ゴビには、ハヴタガイ(野生ラクダ)、マザライ(ゴビ熊)などレッドブックに記載されている動物以外にも盾鼻蛇、トカゲなどの爬虫類、珍しい鳥類が数多く生息しており、また二こぶラクダの生息地でもあります。乾燥や干ばつに耐え、砂の移動を防ぐザグ、トウロイ、スハイなどの化石化した樹木や低木、ゴヨ(砂漠人参)、ハルマグ(砂漠のベリー)、フムル(ニラ系の植物)、ツルヒルなどの珍しい果物や植物が生育しています。モンゴルの薬用植物の3分の1がゴビで獲れます。
気候に関しては、雨量が非常に少なく、地下水も少なく、乾燥した温暖な気候で、夏の平均は+20℃〜+24℃、最大気温+40℃〜+65℃、冬は-20℃〜-25℃です。広大で人口密度が少ない南ゴビ地域は、手付かずの自然が沢山残っていて、探検もそれほど進んでおらず、自然本来の姿が保たれている世界でも数少ない地域の一つです。
しかし、モンゴルの地下資源のほとんどはゴビにあり、鉱山や関連インフラの急速な発展は野生動植物や伝統的な牧畜に悪影響を及ぼしています。
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