茂原レポート(2)

2015月8月12日から17日

茂原英紀

前回の続きです。
午前8時朝食、準備の後10時20分いよいよ30キロ移動の本格的乗馬の旅が始まった。ところが昨日乗った馬の内二頭が替えられている。その一頭が茂原の馬であった。馬主さんの都合なのか理由は定かでない。昨日の馬は従順で指示によく従い反動も少なく感も良い。とてもお気に入りで明日もこの馬に乗れるのかとワクワクしていただけに落胆も大きい。代わりにあてがわれた馬は馬体が大きく黒みがかったこげ茶色でたてがみが長く見るからに精悍な感じ。う~ん、大丈夫かな~! 馬主さんは20代前半とおぼしきお兄ちゃん。そこで馬をゆび指して「モリ ダッチグイ?」 と聞いてみたら、お兄ちゃんは「オー ダッチグイ ダッチグイ!」とにこやかに答えた。それでも心配なのでトルさんを呼んでこの馬はどんな性格なのかを尋ねてもらった。そうしたところ、とてもおとなしい性格だからしっかり手綱をもっていれば大丈夫とのことで、仕方なくこの馬と旅を共にすることにした。

乗りだしてしばらく様子を見たところ、並足が少々おっとりしているかなと思える程度で速足・駆け足ともにこれといった違和感は感じられない。まっ いいか! と思っていた矢先、かれこれ1時間ほど乗ったところで駆け足の最中いきなりかかってしまい暴走を始めた。走る走る止まらない。手綱を強くひいても引き戻されてしまうほど力が強い。速力は更に増しガンガン走っている。とにかく落ちないことだ。落馬さえしなければ何とかなる。この思いだけで必死に耐えた。次の瞬間頭をよぎったのが、今から8年前の平成19年に起きた人馬転倒事故。駆け足の最中馬の右前脚がタラバカンの穴にはまり込み、もんどりうって転倒し肋骨5本を骨折したというあの忌まわしい事故のことが。一瞬不安がよぎる。とにかくおちつけ、落ちるな!
この言葉を繰り返し自身に言い聞かせた。次の瞬間昨日車の中でトルさんと話をしていた時に何気なく聞いたあの言葉が頭に浮かんだ。その言葉とは「馬に走られて止まらなくなった場合には、手綱を強く引くだけでなく、引いてはゆるめ、ひいては緩めることを繰り返すと良い。」というものであった。早速試してみた。グーッと強く手綱を引き、馬が引き戻そうとする力に合わせて緩め、ゆるんだところをまた強く引く、それを繰り返した。その動作を7~8回行ったところ馬は走り続けてはいるもののやや速力が落ちてきたかなということが体感できた。速度が落ちたと言ってもそれほど目に見えてゆっくりペースになったわけではないのであるが、気持ちの落ち着きは更に増した。なおも引いてはゆるめ緩めては引きを繰り返したところ、とうとう停止までこぎつけることができた。この異変を別のグループを率いていたトルバットが目撃し、すぐに馬を走らせて近ずき自分の馬の轡の紐をはずし暴走馬のハミに結びつけた。振り返ってみれば、一緒のグループのメンバーが豆粒のように見える。結構な距離を走られたことが今さらのようにうかがわれた。トルバットがトルさんの所まで牽引したところで伊藤さんがその馬に乗ることになった。しばらくして通りすがりの遊牧民のゲルに向かうと言うので休憩かなと思っていたら馬を貸してもらうという。伊藤さんに伺ったところ、ひと言 「どうにもならない」。 う~ん! 乗馬経験の深い伊藤さんでさえ手に負えないしろ物。

しかし、そのゲルには馬の姿が見当たらない。全部出払っているようである。そこでトルさんがその馬に乗ることにした。ところがどうだろう、馬が従順に指示に従っているではないか。走りもスムースで全く違和感がない。もともと力量のある馬であるため、コントロールする伎量さえあれば絶妙の馬である。さすがは幼少時より馬を乗りこなしているトルさん。そこで伺ってみたところナーダム用に調教されている馬は時としてこのようなこともあるという。

皆さま、茂原レポートを一気に書きたいのですが、帰国後仕事が山積していてその対応に追われに追われコマ切れになってしまいます。ごめんなさい。

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