遊牧民の家庭と習慣

ナムハイ トゥルトグトフ

遊牧民の家庭と習慣

遊牧民の家庭と習慣
モンゴル人の特徴の一つは、約束のない客人を受け入れる伝統があることです。これは広い草原で離れて暮らす遊牧民の生活と関係します。遠い土地へ向かう牧民は、出会った家族の元に泊まる伝統があります。約束のない客人を手厚くもてなし、飲食で歓待し、ゲルに泊めるのは、その家の主人の義務なのです。モンゴルには、「夜、客人を凍えさせると羊が死んでしまう」ということわざがあります。これは客人を寒くないようにして泊めるという意味です。
 
モンゴルのゲルに泊まる時は、足はゲルの入り口の扉に向けて、頭は扉の反対側に向けて横になります。バガナと呼ばれるゲル中央の2本の柱の幅で、扉から奥にかけてのスペースには、座ったり横になることを禁じています。仏像を祀っている家庭であれば仏像に足を向ける、ストーブの中にゴミを入れるなどもタブーとされています。また、ゲルに入る時は、鞭を持たない伝統があります。鞭は鞍と共に外に置いて入ります。
 
遊牧民のゲルの外でトイレに行く時は、川の近く、馬をつなぐ場所、家畜の囲いなどから離れた場所を選びます。遊牧民にとって川の水は、人や家畜が飲む神聖なものです。また家畜の足を通して汚染され、伝染病が広がると教えられているので、ゲルの周辺をきれいに保つ伝統があります。
 
草原では排泄物は1-2週間後には日光や風、湿度の影響で自然の中に吸収されますが、紙類は川に入って水を汚すこともあるので埋めるのがいいでしょう。

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